Photo by: 山副圭吾 |
音楽原作キャラクターラッププロジェクト“ヒプノシスマイク -Division Rap Battle-”。ぴあアリーナMMなどで行われてきた声優陣全員が出演するライブや、現在開催中の各ディビジョンごとのライブ「ヒプノシスマイク -Division Rap Battle- 8th LIVE ≪CONNECT THE LINE≫」に加え、舞台『ヒプノシスマイク-Division Rap Battle-』Rule the Stage」の開催など、多岐にわたる形での公演を数多く行ってきたヒプマイ。そして昨年から今年にかけては、初の3DCGライブ『ヒプノシスマイク-Division Rap Battle- 3DCG LIVE “HYPED-UP 01”』が開催され、大きな注目を集めたが、その第二弾となる『ヒプノシスマイク -Division Rap Battle- 3DCG LIVE “HYPED-UP 02”』が、11月5日(土)・6日(日)にインテックス大阪、12月2日(金)・3日(土)・4日(日)に幕張メッセにて行われた。タイトル通り、3DCG化されたキャラクターがステージ上に登場し、舞台狭しとパフォーマンスする新機軸のライブの最終公演をレポートする。
ヒプマイ楽曲の制作にも携わるTeddyLoidがDJに、そしてフルバンドをバックにしての今回のライブは、ヒプマイのメインキャラクター18名によるDivision All Starsが歌う「CROSS A LINE」からスタート。今年6月にリリースされた3年ぶりのフルアルバム「CROSS A LINE」の冒頭を飾る曲であり、その意味でも「現在のヒプマイ」を象徴する曲からスタートしたことに、会場からは大きな拍手と手拍子があがる。そのまま各ディビジョンがそれぞれのチームの特色を歌う「Hoodstar +」に展開し、ヒプマイの世界観を楽曲を、パフォーマンスを通して形にしていく。
「Hoodstar +」のパフォーマンスを終えると、ステージには、躑躅森盧笙、夢野幻太郎、山田一郎、毒島メイソン理鶯、神宮寺寂雷、天国獄と、6ディビジョンから1名ずつが残りMCを展開。幻太郎の嘘に突っ込む盧笙というファニーな演出に加えて、メンバーがそれぞれのディビジョンのテーマカラーに光るクラップハンドやリングライトを上げるようにオーディエンスに呼びかけるなど、会場の熱気をと一体感を高めていく。
各ディビジョンのソロパートは、オオサカ・ディビジョン“どついたれ本舗”からスタート。天谷奴零の「教師役をやるから、お前ら生徒役頼むは」から始まるオオサカらしい漫才的なMCに続いて、レゲエビートが印象的な「縁 -ENISHI-」、Creepy Nutsが制作を手掛けた「あゝオオサカ dreamin'night」とカラフルにライブを進めた。
続いてはナゴヤ・ディビジョン“Bad Ass Temple”が登場。「ここから先は無法地帯だ!」という天国獄のMCでの言葉通り、キャラの濃い3人が「でらすげぇ宴」、そしてnobodyknows+制作による「Bad Ass Temple Funky Sounds」と、会場をナゴヤの空気に染め上げていく。
ジャケットを着ないと女性恐怖症を発症してしまう伊弉冉一二三が、ジャケットを着ないでステージに登場してしまうが……という寸劇で始まったシンジュク・ディビジョン“麻天狼”のソロパートは、メロウな「シンクロ・シティ」からハードな「Shinjuku Style 〜笑わすな〜」へと流れ、その二面性を形にする。
有栖川帝統が「この真剣勝負に勝てねえぞ!」とメンバーに発破をかけたシブヤ・ディビジョン“Fling Posse”は、「とりま Get on the floor」から「Shibuya Marble Texture -PCCS-」と続け、Fling Posseの持つポップな色合いを、パフォーマンスとしても観客に印象付けた。
「Scarface」「Yokohama Walker」と、シリアスさとダーティさも内包したタフな世界観を聴かせたのはヨコハマ・ディビジョン“MAD TRIGGER CREW”。「小官らのパフォーマンスは常にトップスピードだ。気を抜けば振り落とされるぞ!」という理鶯の言葉通り、ソリッドなステージは、碧棺左馬刻の「ハマの風を感じたみてえだな」という言葉で閉じられた。
「準備万端みてえだな!それじゃいっちょカマすぜ!」と山田一郎のアグレッシブな言葉でスタートしたのは、イケブクロ・ディビジョン“Buster Bros!!!”。「IKEBUKURO WEST BLOCK PARTY」「IKEBUKURO WEST GAME PARK」と、ダンサブルなパフォーマンスを畳み掛け、ソロパートを締めた。
バンド隊とDJ Teddy Loidのパフォーマンスに続いて登場したのは、四十物十四、飴村乱数、山田三郎、入間銃兎、観音坂独歩、白膠木簓の6人。十四のビジュアル系のボーカルらしい大仰なMCを、「なに言ってるかわかんない」と切り捨てる乱数、そのやり取りを「無駄話」と更に切り捨てる三郎。そして乱数の提案するジェスチャーゲームにノリノリで参加する簓、翻弄される独歩、いやいや付き合う銃兎というコミカルなシークエンスで、会場を盛り上げた。
再びライブは各ディビジョン曲へ。オオサカは“笑オオサカ! 〜What a OSAKA!”、ナゴヤは“開眼”、シンジュクは“パピヨン”を披露。続くシブヤは、6ディビジョンがバトルを展開した「Division Rap Battle- 2nd D.R.B」の優勝記念としてKREVAが制作した「キズアトがキズナとなる」をパフォーマンスし、王者としての存在感を形にする。そしてシンジュクは「シノギ(Dead Pools)」、イケブクロは「おはようイケブクロ」と、各ディビジョンの特色が落とし込まれた楽曲を展開した。
最後のMCパートでは、波羅夷空却、有栖川帝統、山田二郎、碧棺左馬刻、伊弉冉一二三、天谷奴零が登場。二郎がインサイドキックで起こした「空気」や、波羅夷空却が起こした「気」をオーディエンスに伝えるという寸劇で、キャラクターの持つ魅力を演出でも魅せた。
そしてステージには乱数/一郎/左馬刻/寂雷によるユニット「The Dirty Dawg」が登場。物語の鍵となるユニットでの楽曲披露で、更にヒプマイライブに深みを増していく。そのまま白膠木簓と波羅夷空却が合流し、Division Leadersによる「UNITED EMCEEZ -Enter the HEXAGON-」でステージは幕を閉じた。
アンコールでは「Survival of the Illest +」のトラックに合わせて、イケブクロ、ヨコハマ、シブヤ、シンジュク、オオサカ、ナゴヤのメンバーが登場。ラストは18人のメンバーがそれぞれ1人ずつオーディエンスに言葉を残し、この日のステージは終了した。
3DCGでありながら、声優陣の演技と舞台演出、キャラクターの動き、そして生バンドとDJによる重層的な構成で「リアル」を感じさせたこのライブ。そのステージのさらなる発展に、十二分に期待させられる充実の公演だった。
Text by: 高木"JET"晋一郎