5月15日(土)から全国劇場にて公開中の『Fate/Grand Order』初の劇場アニメーション『劇場版 Fate/Grand Order -神聖円卓領域キャメロット- 後編 Paladin; Agateram』の公開を記念し、 6月5日(土)に“円卓スペシャルトークイベント映像付き上映”が実施され、 主人公・べディヴィエールを演じる宮野真守さんをはじめ、 島崎信長さん、 川澄綾子さん、 水島大宙さん、 沢城みゆきさん、 置鮎龍太郎さん、 内山昂輝さん、 安元洋貴さんという豪華キャスト陣が登壇いたしました。
そのトークイベントの模様をお届けします。
左から、島崎、安元、川澄、宮野、水島、沢城、置鮎、内山 |
藤丸立香役・島崎さんの「今日は円卓トークイベントということで、 僭越ながら私が進行役を」という挨拶に始まり、 まずは、 今作に登場する円卓の騎士のキャスト陣が勢揃いしたのは初めて! という話題に。
「王としてはどうですか?」と聞かれた獅子王役の川澄さんが感想を答えようとすると、 ほぼ全キャストが川澄さんに対してひざまずき「やめてやめて」と川澄さんが慌てるなか、 トリスタン役の内山さんだけはひざまずくことなく「やれよ!(笑)」と一同からツッコミと笑いをかうシーンも。
気を取り直し、 円卓勢揃いについて川澄さんは「全員が揃うなんて光栄。 我が円卓、 負けるはずがないなって、 とても誇らしいです」と笑顔で答えました。
映画が完成した今の気持ちを聞かれたベディヴィエール役の宮野さんは「キャメロットの物語を、 ベディヴィエールの視点で映画化されるということはすごく光栄であると同時に緊張感もあり、 気合を入れて収録に臨みました。 前編後編とおしてしっかり役を全うできたし、 より深く深くベディに入っていくことができた」と手応えを語ります。
「長くFateシリーズに携わっている川澄さんからご覧になっても、 宮野さんのベディヴィエールに対する解像度・理解の深さというのはすごいものだったのでは?」と聞かれた川澄さんは「15年前のFateからベディヴィエールという名は出ていましたが、 こんなに深く愛情を持って役を演じてくださって、 感謝の気持ちが湧き上がってきました」と語り、 島崎さんからは「原作の奈須(きのこ)先生も後編をご覧になって、 “すごくよかった、 円卓みんな最高だった”と仰ってました」と明かされます。
そして話題は、 後編の見どころであり円卓の騎士たちそれぞれの信念が描かれるバトルシーンにうつります。
シリアスな物語の中でコミカルな要素もある“マシュ・キリエライトvsランスロット”について感想を聞かれたランスロット役の置鮎さんからは「ランスロットとも長い付き合いですが、 こんなにフィーチャーされたのは初めてで嬉しかった。 序盤の戦いではコメディリリーフかなという感じで、 演じていて楽しかったです」と語りました。
“反転”というギフトを与えられ冷酷非情な振る舞いをするトリスタンを演じた内山さんは、 「トリスタンという立場を忘れてこの作品を観ると、 映像に圧倒されました。 バトルに圧倒されているうちにエンドロールがきて、 すごいなと」と作品の感想を語り、 「トリスタンとしては、 基本的に原作ゲームでも静かに喋るキャラクターなのですが、 後編では激しいシーンもあり、 彼の中での変化をどう見せていこうかというのが課題でした」と語ると、 島崎さんと川澄さんが「川澄さんとも、 うっちーすごいねって話しましたよね」「そうそう」と和気あいあいと受けます。
続いて“モードレッドvs玄奘三蔵”シーンについて島崎さんが「荒々しくてよかったです」と感想を伝えると、 沢城さんは「荒々しいだけになってしまったかもしれない……(笑)。 ずっと焼き切れているような感じ」と答えつつ、 「『Fate/Apocrypha』の時は毎回収録前に東出(祐一郎)先生にセリフの1個1個を確認していたくらい、 モードレッドは、 なるべく描こうとされているものに忠実に、 でも自分も肉付けができるようにということを毎回課題だなと思っているキャラクター。 『Apocrypha』の時は自然なかわいいところも見られたのですが、 今回はただただ辛い、 かわいそうな時間が長くて。 元々すごくいい子なので、 あんなふうに三蔵に説法してもらえるとは」とキャラクターについて語りました。
安元さんが「あのシーン、 すごくきれいで良かった。 三蔵は前後編とおしていいキャラクターですよね」と熱く語ると、 「三蔵の読み上げる言葉の意味を1つずつ調べて、 私は今こういうことを言われてるんだ、 と読み解くのに自分のセリフ以上にすごく時間をかけました」と沢城さんが明かします。
「バトルといえば、 物議を醸している……」と島崎さんが話題を安元さんに振ると、 置鮎さんが「ランスロットを憎むあまり俺に対して敵意が出てしまうっていうのを聞いて、 こんな公式にケンカを売られたことはないよ(笑)」と答えます。 安元さんからは「違うんです! アグラヴェインを演じるにあたって2人のFate先生(島崎さんと高橋李依さん)に現場で、 こういうことなの? と設定などを確認したんです。 そうしたら後編のランスロットの行動に、 どうしても“解せない”という気持ちになってしまって……。 ただこの作品のすごいところは、 どのキャラクターも純粋というか、 己の思うところに素直に生きた結果のぶつかり合いになっているから、大変でしたが、 そこに関われたのは楽しかったです」と作品への想いを語ります。
後半でベディヴィエールとの激しいバトルシーンを演じたガウェイン役の水島さんが「獅子王に召喚されて、 王についてくるかと問われた時に彼は非常に重い決断をしていて、 そんな中でベディが現れたことを獅子王に報告しなかったのは彼の忠義にも迷いがあったということではないかと思うんです。 ベディとガウェインの戦いは“忠義とは”というところを問いながら互いに戦い抜いていて。 そして最後のガウェインの言葉がとても印象的で、 ずっと力んでいた彼が初めて力を抜いて言ったセリフでした」と語ると、 宮野さんは「ベディがガウェインと相対したシーンは“しっかりと対峙して、 自分の信じるものをちゃんとぶつけ合ってほしい”というディレクションをいただいて。 山の翁に試された2人ですけど、 ちゃんと自分の想いに向き合ってぶつかった、 象徴的な2人だなと思います」と振り返ります。
「その後の獅子王とベディヴィエールは、 戦いというよりは還しにいく、 伝えにいくシーンでしたね」と島崎さんがクライマックスシーンについて触れると、 宮野さんは「この物語でベディが抱え続けていたものは“贖罪”なんです。 だけど藤丸たちに出会ったことにより、 命はつながっていくということを知れたのが彼にとってすごく大事なことで、 それによって獅子王に“ごめんなさい”ではなく“ありがとう”を言う旅へと変わっていった。 ベディが一番恐れていたのは自分の旅が意味のないものになってしまったらどうしようということだったのですが、 それは自分自身ではなくアーサー王にとって、 我々円卓といた時間も含め、 生きてきたことが意味のあるものであってほしい、 それが無になってしまったら怖いという想いだったんです。 だから本編最後のセリフは本当に、 円卓全員が報われたような。 なんてきれいな、 美しい物語なんだろうと」と感慨深く語りました。
その言葉を受け、 川澄さんが「私は演じながら、 獅子王の選択に対してこうするしかないのかもしれないと思う自分もいて。 だけど三蔵ちゃんの言うように世界は生きているもののためにあって、 命はつないでいくからこそ価値があるという考えが獅子王には足りなかった。 ベディヴィエールがアーサー王を思い出すシーンで、 “人々の想いがあるからキャメロットは成り立つ、 私もこのキャメロットが好きだ”という言葉があって、 だからこそベディヴィエールはこの獅子王を倒さなければならない存在だという意志を強くする。 最終的に剣を還されて、 でもアーサー王に戻らず獅子王のままというところに、 アーサー王の円卓も今回召喚された獅子王の円卓も、 どちらもつながっているものがあるということが、 なんて愛のあるメッセージなんだろうと思いました」と語ると、 宮野さんは「“私は間違っていた”と終わらないのがすごいところですよね。 自分の信じたものは変えずに終わるけど、 藤丸、 お前はどうするんだと託す。 それがつながっていくということなんだなと思いましたよね」と答えます。
自身が歌う主題歌『透明』について宮野さんは、 「10代の頃からお世話になっている坂本真綾さんに作詞を担当していただけるなんて、 本当に光栄でした。 この作品の主題歌として僕が伝えられるのはベディの想いだなと思って、 真綾さんに表現したいことをどう伝えようかと言葉を構築しているときに前編主題歌『独白』が届いたのですが、 そうしたら僕が伝えようと思っていたことが全部表現されていて、 すごいなと。 そこで、 前編は物語が解決していないため、 想いをぶつけて終わっていく歌だったので、 “後編はその先にある歌、 彼が想いを遂げた先にある救いや赦しを歌えたら素敵だと思います”ということをお伝えして作っていただきました。 真綾さんが“アーティスト宮野真守として歌ったときに、 この今の苦しい状況下でマモくんがファンのみんなに伝える歌詞でもありたい”と言ってくれたんですが、 それを聞いたときに僕はコンサート会場であの曲を歌っているイメージが浮かんで。 もうお客さんもみんな声をあげていい、 歓声のなか“こんな自由が待ってるなんて”と歌えたら、 なんて素敵なんだろうと思いました」と語りました。
「主題歌の余韻にひたっているなか、 エンドロール明けのシーンにはびっくりしましたよね」と島崎さんが問いかけると安元さんが「あのシーンがなかったらアグラヴェインは……報われないというと言葉は違いますが、 なぜあの場にいたのかが難しくなってしまうという、大事なシーン。 あの言葉がほしくてがんばっていたわけではないけど、 一番ほしい言葉をかけてもらった。 あそこの獅子王の表情がまた良くて、 救いがここにあったなと。 嬉しかった」と答えると、 川澄さんは「私としては、 獅子王とアグラヴェインってあまり多くを語らなくても分かりあえている存在だったと思うので、 言わずともいいんだけど、 あえて最後に言葉としてかけるというのがあったかいなと。 アルトリアの最期を見届けたのはベディヴィエールでしたけど、 今回獅子王の最期を見届けるのはアグラヴェインなんだというところに、 それぞれの忠義の形、 騎士道が見てとれました」と語ります。
そして島崎さんが「あそこのシーンで終わることが、 今回劇場版としてこの物語が描かれる意味があったなと感じました。 ゲームだとカルデア視点で進めているので、 藤丸たちが無事にカルデアに帰ってきてめでたしめでたし、 という終わりになるんですけど、 今回は円卓の物語。 劇場版だからこそできた結末ですよね」と続けました。
「獅子王にアグラヴェインがたどり着くということは“ランスロットvsアグラヴェイン”戦は……」という話題になると、 安元さんは「アグラヴェインはぎりぎり人の形をしてましたよね。 それほどに出しきらなきゃ勝てない相手なんだというのを絵の力でも伝えてくれていた」と答え、 置鮎さんは「演出面もこだわって、 それぞれのバトルシーンごとに違う方が担当されたと聞いて、 それがハマっていてよかった」と答えます。
島崎さんが「今の時代にあえてセル画っぽい表現をしていたりという細かいこだわりもあるそうなので、 何回も観るとそういった部分にも気付けるかもしれませんね」と制作スタッフについて触れると川澄さんは「それぞれの“ギフト”の表現がすごくいいなと。 ガウェインは太陽だから手が燃えながらも戦ったりとか、 暴走や反転も、 “ギフト”って嬉しいものだけどそれぞれの枷でもあるという重みが伝わる演出だったなって」と映像表現について語り、 「モードレッドの暴走もすごかったよね」と感想を聞かれた沢城さんは「特に今回三蔵と対峙したことで“静と動”という対比がすごくて、 焼き切れそうなモードレッドと、 どこまでも懐の広い三蔵が代わる代わる描かれていく様が対照的でした」と答えます。
獅子王が騎士たちに与えた“ギフト”。 そんななかアグラヴェインだけは“ギフト”をいらないと言った騎士という話になると、 安元さんが「不思議な関係ですよね。 王を利用したとアグラヴェイン自身も言っているけど、 そこに忠義もあって、 曖昧な関係性がおもしろいなと」と語ると、 沢城さんから「獅子王の『働きすぎだ』という言葉が、 “ああ、 簡単に言うとそういうことなんだ!”って、 ものすごく腑に落ちて」とコメントがあり、 「あんなこと言われたら泣くって。 すごい言葉ですよね」と安元さんは答えました。
「うっちーは映画好きじゃない? 完成した映像を観てどうだった?」と島崎さんに聞かれた内山さんが「いただいた映像を家で観たんですけど、 “えっ、 なにこのバトル”って思ったら止めちゃって、 一回巻き戻して“どうやって作ってるんだろう?”って絵の構造を分析したくなる。 スタッフさんの制作裏話を聞きたくなるような作品です」と感想を語ると、 沢城さんから「前編のパンフレットも熟読しちゃった。 スタッフさんのインタビューやキャストの皆さんのインタビューもとてもいい内容で、 そういうところまで含めて飲み込みたい余韻がいっぱいある作品」というお話しも。
約50分という時間もあっという間、 最後に、 お一人ずつご挨拶をいただきました。
「まずは僕から。 でも僕の話はいいんです。 本当にいい作品でした。 そして今日このメンバーのお話が聞けて、 一緒に登壇できて本当に幸せでした。 皆さんどうぞ今後とも作品を楽しんでください。 いいものを見せていただきました! ありがとうございました!」(島崎さん)
「前編があそこで終わってモヤモヤしたかもしれないですが、 そこの溜まっていたものを全部片付けたといいますか、 すごくきれいな前後編でした。 後編を観終えたらもう一回前編に戻って欲しいなと。 何度も何度も楽しんでいただきたいですし、 僕自身もそうします。 ありがとうございました」(安元さん)
「僕にとって今回の作品は、 改めてFateの楽しみ方、 奥深さをキャスト側から知る機会になりました。 沢城さんのモードレッドにまた会えたとか、 置鮎さんにまた会えたとか、 こうやって掘っていくんだなと。 掘り甲斐のある作品の一端を垣間見た気がします。 映像作品としても、 FGOに詳しい方もそうでない方にも、 迫力や魅力が伝わる作品なので、 ぜひぜひ周りにもすすめてください。 よろしくお願いします」(内山さん)
「壮大な親子喧嘩もスクリーンで観られて(笑)、 ランスロットはずっと喧嘩しているような感じもありましたけど、 彼は彼なりの人生を全うした、 生ききったと思います。 このシリーズで彼がまたどういう描かれ方をするのかわかりませんが、 皆さんが楽しんでいただいているこの世界でまた生きたいなと思いました」(置鮎さん)
「本当はこうやってみんなで集まって収録できたらよかったなと、 今日こうして集まることができて改めて思いました。 このチームのみんなが大好きです。 本当は会場のお客様にもお会いしたかったけれど、 でもこのような形でも会いたいと望んで足を運んで下さってありがとうございました。 モードレッドは今回かわいそうな顔ばかりでしたが、 『Apocrypha』などでは本当にかわいい顔もたくさん見せてくれるので、 ご興味持っていただけた方はそちらもちょっと覗きに行っていただけたら嬉しいです」(沢城さん)
「実は僕は前編の収録も皆さんと一緒に録ることができなかったんです。 でも今日こういう場をいただいたおかげで、 作品に対する想いを、 皆さんを前にして話すことができたのがとっても有意義で楽しかったです。 ガウェインは長い期間演じさせていただいていて、 今回一つの大きな転換といいますか、 本当にいい役を演じさせていただいているなと改めて感じることができました。 ありがとうございました」(水島さん)
「ベディヴィエールの長い旅があって、 藤丸たちと出会って、 人の想いをつなげてようやくたどり着くという、 この一つの物語を終えることができて本当に嬉しく思います。 今日こういう機会をいただいて、 みんなで作品のことを話すってとても楽しいんだなと感じました。 こんな時代だからこそつながっていくって大事なんだなと改めて思って、 そういう風につながっていくのがFateシリーズで、 そしてその中でもこのエピソードは本当に自分にとっても思い入れが大きい作品だったので、 皆さんに最後まで見届けていただけてとても幸せでした」(川澄さん)
「僕らは皆さんに観ていただくために作品を作っているので、 公開できたことを本当に嬉しく思いますし、 今日この会場にはお客様はいないけれど、 ちゃんと皆さんの顔を見ながらお話しできた気がします。 それはもうすでに皆さんのコメントが届いていたりとか、 こんなにもFateって愛されているんだなということを僕らが感じながらお話しできたからだと思います。 キャストの皆さんのお話が本当に素晴らしかった。 全員がそれぞれの役にこんなにも想いを込めて演じている作品がたくさんの人に愛されてるというのは素晴らしいことだし、 それをスタッフが最高の力で本当に素晴らしい映画に仕上げたということが、 携われた人間として幸せだなと思います。 そして、 ベディヴィエールの想いを遂げられて幸せでした。
この作品は、 この時代だから作ったという映画ではないのに、 今僕らがほしいメッセージが本当に詰まっている作品だなと思います。
命はつながっていく、 つないでいく。 自分の命には意味がある。大事な人に“ありがとう”を言えるような人生をおくる。
皆さんに受け取っていただきたいメッセージがたくさん込められていますし、 それを大事な人に伝えてほしいなと思います。
引き続き応援いただけたら、 皆さんと面と向かって会える機会もまたやってくると思いますので、 僕らはこれからも諦めずにエンタメを作り続けます。 Fateを愛してくださって本当にありがとうございます」(宮野さん)